・風邪
「よう!久しぶり!」
「久しぶり…ゴホ!ゴホっ!」
「どうした?風邪か?」
「ああ悪性のインフルらしい。今、家で寝てるとこ」
「インフルかよ。物騒だな。気をつけろよ」
「本当最近物騒だよ。近所では通り魔事件が多発してるらしいし」
「何だそれ」
「何でも突然部屋に入ってきて後ろからロープで首をギュッ、といくらしい」
「何それ。気付くだろ。普通。まあ俺なら即返り討ちにしてやっけどな」
「返り討ち?言うねー、そんなマジキチ相手に?」
「余裕っしょ!」
「マジでか。でさ………ゴっ!ごほっ!ゴホっ!ゴホおっ!!」
「おいおい大丈夫かよ?」
「………わりい。大丈夫大丈夫。風邪ひどくなってきた」
「大丈夫か。声変わってんぞ」
「ああ…ところで今度お前んち行きたいんだけどさ。道教えてくんない?」
「おいおい。何回も来たことあるだろ?」
「忘れちまった。住所教えてくれたら行くよ」
「しょうがねえな。XXXX町XXXX番地な。もう忘れんなよ」
「わかった。今度必ず行く」
「じゃ安静にな」
「ああ」
〜解説〜
電話の途中で友人が通り魔に殺されている。
「マジでか。でさ………ゴっ!ごほっ!ゴホっ!ゴホおっ!!」は咳をしているのではなく首を絞められて殺されているのである。
その後の「大丈夫か。声変わってんぞ」で通り魔と入れ替わっていることがわかる。
「ああ…ところで今度お前んち行きたいんだけどさ。道教えてくんない?」
つまり・・・
・かなしんでくれるかい?
一人の女の子がいた。性格は明るく、小学校ではたくさんの友達に囲まれていた。
また、女の子は大のおじいちゃん子で、おじいちゃんも女の子の事を本当に可愛がった。
しかし、おじいちゃんは今は入院しており、余命は長くなかった。
医師がもう残りわずかの命である事を伝え、女の子は両親に連れられ病院に行った。
病室で女の子の両親はおじいちゃんと話した後、医師の説明を受けに病室を出て行った。
病室には女の子とおじいちゃんの二人。
女の子はおじいちゃんに、学校の事や最近楽しかった事などいろいろな事を話した。
しかし、途中で女の子は泣きながら
「おじいちゃんいなくなるの?」
と聞いた。するとおじいちゃんは
「おじいちゃんが死んだら、お父さんとお母さんと一緒にかなしんでくれるかい?」
と言った。女の子は
「うん……でも死んじゃいやだよ」とつぶやいた
その後、女の子は家に帰ることになり、その次の日おじいちゃんは帰らぬ人となった。
女の子はその日、わんわん泣いた……。
一か月後、ある記事が新聞の隅に載った。
一部抜粋すると
「一家心中、動機は全くの不明。女の子の名前は斉藤加奈ちゃん」
~解説~
「おじいちゃんが死んだら、お父さんとお母さんと一緒にかなしんでくれるかい?」
おじいちゃんは 「悲しんでくれるかい?」 と言ったのです。
しかし「悲しんでくれるかい?」を「 加奈 。死んでくれるかい?」と間違った受け取り方をしたのだった。
・終電車の中で
終電車の中で眠ってしまい目を覚ますと、見知らぬ女性が俺の肩に頭を乗せてもたれかかるように眠っていた。
見ると黒髪ロングでかなりかわいい。貞子とかの不気味な黒髪じゃなく、綺麗な感じ。
正直言って悪い気はしなかったので、しばらくそのまま乗っていた。俺の降りる駅はまだ先なので大丈夫だろう。
二駅、三駅を過ぎ車両には俺と、俺にもたれて寝ている女性の二人だけになった。
彼女はどこで降りるんだろう、起こしてあげた方がいいかな……そう思った俺が体を動かしかけると、
「動かないで……」
と、目を閉じ頭を肩に乗せたまま女性が言った。
さらに続けて、
「もう少しこのままでいたいな……」
って 初対面の人に言われて不思議だったけど、女の子にそんなこと言われて理由を聞くほど俺は野暮じゃない。黙って肩を貸してやった。
でもさすがに自分の降りる駅が近づくと心配になってきてさ、とりあえず「どの駅で降りるの?」と聞いてみた。
すると「落ちる駅?」と返してくる。
「違うよ、落ちる駅じゃなくて降りる駅」
「降りる駅が落ちる駅だよ」
また意味不明な答え。さらに彼女は「貴方の降りる駅が、私の落ちる駅」と続けた。
ひょっとして、自殺でもするんじゃないかと思ってさ。この娘は俺の降りた駅で飛び降り自殺をするんじゃないだろうか?
どうしても気になったので、彼女に「落ちちゃいけないよ」と言ってみた。
すると彼女は「貴方が降りたら私は落ちる」と脅迫めいたことを言ってくる。仕方がないので「じゃあ降りないよ」と言ってあげた。
彼女は嬉しそうに、「ありがとう、約束だよ……破ったら貴方も落ちてね?」と言う。
この言葉に俺はゾッとしたが、今は彼女を落ち着かせることが優先だ。自殺を食い止めたい一心で、俺は「わかった、約束するよ」と言った。
そのとき、電車が揺れた。
そして彼女の方を見た俺は、彼女の不可解な言動のすべてを理解した。
しかしもう遅い。
降りたら彼女は落ちる、そして俺もまた落ちるのだから。
~解説~
「貴方の降りる駅が、私の降りる駅」は「男が降りると女の首が落ちる駅」という意味。
「破ったら貴方も落ちてね?」は「降りると男の首も落ちる」という意味。
「電車が揺れた」で女の首と胴体が繋がってないことに気付いた。
・兄の意思
兄が狂乱し、家族を皆殺しにした。すぐに兄は逮捕され、死刑となった。
妹は幸運にも生き延びたが、事件のショックで記憶を失ってしまった。
父も母も失い、記憶もない。空っぽな心で無気力なまま生きていた妹は、ある日占い師と出会い、自分の過去を占ってもらうことにした。
「何故兄は発狂したのでしょう」
「いいえ、アナタの兄は冷静でした」
「何故家族を殺したりしたのでしょう」
「いいえ、兄が殺したのはひとりだけです」
そして妹は全てを理解して、泣いた。
【解説】
発狂して家族を殺したのは妹。兄はその罪を被って自供し死刑。
兄は兄一人しか殺していない。
・呪いの手順
呪い真書を手に入れた。冒頭にこう書いてある。
「これに書かれてある手順を実行すると呪いが成就するが、
手順を間違えるとその呪いは自分に返ってきます。あなたはそれでも実行しますか?」
勿論だ。俺には許せない奴がいる。
だからこそこの呪い真書を手に入れたのだ。
俺は呪いの手順を始めた。
「1.まずはじめに目を閉じて呪いたい相手の顔を思い浮かべます」
忘れたくても忘れられるものか、と俺は奴の顔を思い浮かべた。よし、次だ、どれどれ・・・
「2.どんな呪いをかけたいのか思い浮かべます」
考え付く全ての苦痛を与え続けてやる。
よし、次だ。
「3.最後に目を開けます」
~解説~
1で目を閉じ3で目を開ける。
怖いけど笑ってしまう(笑)
以上、鳥肌の立つ意味が分かると怖い話でした!!